現場の「泥臭い」マルチタスクを、デジタルの力で整理する
製造現場の生産技術職は、設備導入、保全、改善、そして突発的なトラブル対応と、膨大なマルチタスクに追われています。 多くの現場ではこれらをExcelで管理していますが、以下のような課題が常態化していました。
- 「最新版のExcelがどれかわからない」
- 「誰がどの程度パンパンに詰まっているかが見えない」
- 「過去の似たような修理にどれくらい時間がかかったか、検索できない」
『ProManage』は、これらの現場特有の「重なり合う業務」を、シンプルかつ強力に管理するために開発したプロトタイプです。
どんな業務をひとつの画面に集約したかったか
生産技術の仕事は、単発の作業だけで完結しません。 設備導入のように数週間から数か月にまたがる案件と、当日のライン停止や部品不良のように即応が求められる案件が同時進行します。
さらに、担当者の頭の中には「いま止まりやすい設備」「過去に手間がかかった改造」「次に詰まりそうな案件」といった暗黙知が大量にあります。 この状態をExcelのタブ分割や個人メモで回し続けると、引き継ぎのたびに情報が欠け、優先順位の判断も人に依存しやすくなります。
実務に即した機能設計
- 現場視点のガントチャート: 設備導入などの長期スパンと、日々のチョコ停改善を同じ画面で見渡せます。
- 軽量なバックエンド: Python (Flask) と SQLite を採用。現場のPC一台あれば、イントラネットですぐに動かせます。
- データドリブンな工数見積もり: 蓄積された実績データから、新しい改善案件の見積もり精度を向上させます。
設計で重視したポイント
このツールでは、見た目の派手さよりも「入力のストレスが少ないこと」と「朝の数分で状況がつかめること」を優先しました。 現場で本当に使われる業務アプリは、機能の多さよりも、担当者が迷わず更新できる導線の方が重要です。
- 案件の粒度をそろえる: 設備導入、改善、修理依頼など、種類が違う仕事でも比較できるよう、最低限の共通項目で整理。
- 担当負荷を見える化する: 個人ごとの案件偏りを一覧で把握し、属人的な過密状態を見逃しにくくする。
- 検索できる履歴を残す: 「似たトラブルを前に誰がどう処理したか」をあとから探せるようにし、再発時の初動を早める。
「動く」ことを最優先した開発スタック
高機能な市販ツールは多々ありますが、現場には「多機能すぎて入力が面倒」という壁があります。 ProManageは、徹底的に 「入力の少なさ」 と 「情報の見やすさ」 にこだわりました。
- Frontend: HTML5 / Vanilla CSS / Vanilla JS(ライブラリ依存を最小化し、数年後もメンテ可能に)
- Backend: Flask(小規模な現場ツールに最適)
- DB: SQLite(ファイルベースでバックアップが容易)
現場で期待している使い方
想定しているのは、管理部門だけが見るツールではなく、現場の担当者とリーダーが同じ情報を前提に会話できる状態です。 たとえば朝礼前に進捗の遅れを確認したり、設備停止が続いているテーマを洗い出したり、設備改造の見積もりに過去案件を参照したりといった使い方です。
「いま何が危ないか」「誰の負荷が高いか」「次にどこで止まりそうか」が見えるだけでも、対処の順番はかなり変わります。 ProManageは、そうした判断材料を現場の近くに置くためのプロトタイプでもあります。
導入によって狙っている効果
- Excelや口頭確認に分散していた進捗情報の一元化
- 設備導入と保全案件を同じ基準で俯瞰できる状態づくり
- 過去トラブルの対応履歴を再利用しやすくすることによる初動短縮
- 個人依存の案件管理から、チームで見える管理への移行
今後の展望
今後は、案件の進捗履歴や突発修理の対応履歴をより見返しやすくし、工数の傾向や詰まりやすい工程を把握できるようにしていく予定です。 あわせて、入力負担を増やさずに更新精度を上げること、担当者間の引き継ぎをしやすくすることにも手を入れていきます。 「現場を止めない」ための管理ツールとして、さらに深化させていきます。